ビールかけにおける一考

僕はプロ野球が嫌いである。


理由はなんとなく。
なんとなくなのに、好きでも嫌いでもなく、嫌いである。
我ながら何故嫌いなのか説明を上手につけられない。


でも自分で野球をするのはどちらかというと好きだ。
ボールを打ってカキーンって飛んでって全力で走るのは気持ちがいい。
それが点に結びついたりなんかしたら嬉しいし。


ただ、野球をしだすと必ずと言っていいほど投げるフォームとか打ち方とかいちいち指導してくるやつがいる。
まじウザい。聞いてもいないのに戦略を語ってきたり。
いやいや遊びなんだから。それにお前は監督じゃないから。
野球独特の掛け声とかもちょっと苦手。
特にヤジ。普段は大人しい友人が野球になると得意げにヤジを飛ばしたりする。ひくひく。
あれを見ると宴会で酔ったオッサンが若いOLにセクハラ発言しているのと似ている気がする。なんでだろ。


そんなこんなでやっぱりプロ野球に限らず、野球は嫌いかもしれない。
第一、僕にはチームプレイは向いていない。。。


さて、ビールかけについて。
優勝したチームは必ずといっていいほどビールかけをする。
これについて、「もったいない」論者が必ず現れる。
僕も「もったいない」派である。


しかし、ネットで検索してみるともったいない論者は物事の一部しか見ておらず、意味のない発言をしているとまとめられていることが多い。
というのも、ビールかけ賛成派は大々的にニュースで放送されるビールかけがもったいないと責めるなら、
コンビニやレストランで毎日大量に捨てられる残飯はもったいなくないとでもいうのか?なぜビールかけだけ非難するんだという論法である。
これはこれで頷ける。確かに正論である。


だけど僕は何かひっかかるものがる。
食べ物ってそういうものではないだろうと。
じゃあさ、ビールかけしてももったいなくない派の人は食べ物を粗末にすることに何の抵抗もないのか?と言いたい。
食べ物を故意に粗末にすることと、結果的にゴミになってしまったものとでは全く違う。
もちろんここでいう食べ物とは食べ物として用意されたもののことを言う。
例えば、お腹がいっぱいで帰宅した時におばあちゃんが作ってくれた手料理を目の前で投げ捨てて、
「世の中は常に大量の食べ物が捨てられているんだ!こんな手料理捨てたって何ももったいなくないじゃないか!」
ということができるのだろうか。性善説でいえばそんな奴いるはずがない。


これをビールかけやシャンパンかけの液体に置き換えて考えて欲しい。
たとえスポンサーであるドリンクメーカーのお偉いさんが快く無償提供したとしても、
ビールなりシャンパンなりを一生懸命工場で生産した数万人のおじさん達の気持ちを踏みにじることになる。
おじさん達は家族を養うため、自分が食っていくため必死に働いて品質のよいおいしいものを作ってきたんだ。
中にはプロ野球ファンでオレの作ったビールが使われたー!とか言って喜ぶおじさんもいるかもしれないが、


「 ・・・本 当 は 飲 ん で ほ し い な ・・・ お い し い ん だ よ ・・・」


と思っているに違いない。


「もったいない」というのは食べ物自体が捨てられる事に向けているものではなく、
おいしく食べて欲しいと願い、懸命に作った農家・畜産家・製造者の『気持ち』を捨てている事がもったいないのである。